キッカケ

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「何故、そうなる」 独り言が思わず口をついて出たか、それに気付いて苦笑い。 「いやぁ、それは水島を差し置いて申し訳ないだろう、それに俺は盛り上げ役にはなれないぞ」 「チーフは居てくれるだけでいいんです!水島さんも来るし」 水島さんは、実際のところ橘さんの指名だ。男女隔てなく広い交友の持ち主である橘さんは、それでも一番気楽に話せる相手が水島さんらしい。二人が冗談を交わし、よく笑っているのを見かけたし、イチャつくよりはじゃれ合う、恋人よりは親友、が正しいような間柄に見えた。 そこで何か合点がいったようにチーフは頷いてみせた。 「ははぁ、および腰になった?俺がいらん気を利かせすぎたかな、まあ、あんまり固くならずに気軽にしゃべってみて。俺も念のため、お守役で参加させてもらうよ。」 「お願いします」 意図するところは違ったけれどこの際、結果オーライといったところだろう。 「にしても、ビックリしたなぁ、叶さん 必死なんだもん」 「は、はは。」 その時は既に日にちと場所が確定していたので、佐々木チーフに伝えて別れた。 男性メンバーには昼休みや、休憩所、すれ違いざまに引き留めたりしてなんとか伝言完了。 しかし、遠見さんとは本当にタイミングが合わず、伝える機を逸してしまう。同じ部屋に居ても、どちらかが手が離せなかったり、呼び出されたりしているから始末が悪い。 もう、気を回す事にも疲れて、メールでいいや、と投げやりになったその日、仕事を終え、帰宅してから風呂上がりに携帯を握ったともるは絶句した。
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