3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふ、誰?とか言われたらどうしようかと思いました、えと、飲み会の事なんですが、今度の金曜19時30分からで、イタリアン・フレンチ提供してるお店にしました。名前が『エトワール』って言って、会社近くの駅を北に上った所です。白い庇のあるお店だからすぐ気づくと思います。」
「あ、何となくわかります。向かいに本屋ありますよね?」
「そうです、そうです!あ!忘れてたっ!」
「え?何をです?」
「あ、えと、好きな外国人作家さんの本が今週発売で...。急にすみません」
「へえ、外国の本が好きなんですか?」
「えぇ。勿論、日本語しか読めないんですが、この翻訳の発売が中々遅くて。今度、映画で実写化もされるんです。」
「読書家なんだ。」
「いえいえ、物語ばっかで、ビジネス書とか自己啓発とか現実で身につくものは全然読めないんです。」
「いいと思いますよ」
「あ、ありがとうございます、あはは」
電話越しに照れて言葉が続かない。
「そしたら金曜日、お願いします」
焦りから早口にまくし立ててしまう。
「はい、また金曜日に」
あちらは何処までも丁寧だった。
最初のコメントを投稿しよう!