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「ご用件って何ですか?」
「 あ。ええとですね…」
うわ、やっぱり切り出しにくいし、緊張するな。
慌てて姿勢を正す。
「えっと、もし良ければで構わないんですが、今度私が幹事する合コン・・・じゃなくて飲み会に来てイタタダケナイデショウカッ!…ッタ、舌噛んじゃった。」
突然の申し出に驚いて、目をパチクリさせている。
数秒の沈黙の後、
「私でいいんですか?」
おずおずと聞いてきた。
「来てくれるんですかぁ?!」
玉砕覚悟だったので、すっかり安堵して思わず笑みがこぼれた。
「いや、無愛想だし、敬遠されてるかな、と…」
顔に似合わず、なんと謙虚なんだ…
「ありがとうございますっ!すっごく嬉しい!」
相手の驚いた顔がほころんで笑顔に変わる。
「そうですか、どういたしまして。」
いつの間にやら彼も頬杖をついて、ともると視線の高さを同じくしていた。少し顔を傾げた首筋の色っぽさにドキマギする。
「じゃあ、時間と場所は会社で内緒めに伝えますね」
「あ、席空けてる事多いんで、携帯に連絡貰えると助かるんですけど。」
そう言うと黒いスマートフォンを後ろのポケットから取り出した。
ともるも急いでカバンから取り出す。
「うーんと、まだ使い方良く分らなくて...」
苦笑いで相手に最近、機種変した携帯を手渡すと笑って応じてくれた。
「あの!橘さんも来ますから!」
メールアドレスのやり取りの最中、話を繋ごうと話題を提供する。
良く考えなくてもわかる事だったが、一般職で事務の叶ともる(カナエトモル)と、総合職で営業の彼、遠見幸翔(トオミユキト)の接点はあまり無い。
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