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彼は画面を操作する手を止め、少し思いを巡らせるようにしてからともると目を合わせた。
「そうなんですか、何故それを?」
笑顔・・・なはずなのに怖い。目の奥が笑ってないからだと気づいた。
「えっ、と」
瞠目して二の句を継げないでいると
「・・・・・ま、いいや」
何がいいのか全く分からなかったが、硬直した身体の緊張が一気に解けてほっと胸を撫で下ろした。
はじめの印象と打って変わって、少し恐い人かもしれない。
運ばれたアイスコーヒーを何度か口に運びつつ待受画面に戻してともるへ携帯を返すと、椅子を引いて立ち上がった。
思わず、反射で伝票に手をのばしたが、別の手がそれを遮り、やんわりと押し戻された。
「や、私が誘ったので・・・」
困った顔で尚も手を伸ばすと、彼は伝票をヒラヒラさせて言った。
「可愛い子、紹介してくださいね」
歩いていく後ろ姿にやっぱり健全な男子じゃないかと変に感心させられたのだった。
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