3.乖離(かいり)

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――こういう時が、一番危ない。経験則としてそう感じていた。 足を止めることはしなかった。止まってしまえば動けなくなると、分かっていたから。 「――? あれは……?」 同じような景色が続く中、ふいに目の前に両開きの扉が現れる。 そこに刻まれている模様に、少しだけ見覚えがあった。 なんだったっけ……。 「ああ、そうか」思い出すことは簡単だった。 なぜならそれは数時間前、この遺跡に入ってからそこらで見かける文字と同じものだったからだ。 ということは、なにかの警告とも考えられる。 簡単にこの扉を開けるべきか、少し悩んだけれど、僕には後戻りをする道は残されていないのだ。 進むしかない。 そう覚悟を決めて扉を開ける。 「――――――え?」 僕は扉を開けた格好で固まってしまった。 なぜならば、そこに広がっていたのは地上の広間よりも更に広大な、損傷のまるでない空間だったのだから。
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