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こんな事は、ありえない。
数千年の年月は、ここまで軽いものだったのだろうか?
いやそんなはずはない。どんな精巧に作られたものでも、時間に勝つことはできない。
「できないはず……なのに」
どうして、と疑問が渦を巻いた。
そしてその混乱の渦中(かちゅう)にある僕の目線の先に、祭壇のようなものが映る。
部屋の奥にあるため、細部までは分からないが壇上に古めかしい箱が置かれていることに気がついた。
「………………」
疑問は一旦置いておき、その祭壇に足を向ける。
僕がここに来た理由は、この遺跡の謎を解き明かすためじゃない。
あくまでも、古文書を見つけるために僕はここにいるのだ。
祭壇に上がり、箱の前に立つ。
眺め見てみると鍵などは掛かっていないようだ。
不信感を抱きつつ、そうっと蓋を開けてみた。
中には古びた書物が納められていた。
「これが古文書……?」
手に取ってみると意外に重い。そのあっけなさに違和感を覚えるが、古文書らしきものはこれしかないのだ。
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