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なんだかおさまりが悪いと思いながら、その書物をポーチにしまってその場を後にする。
国王にこれを届けることが最優先だったので部屋の探索は後回しに、僕はその部屋から出た。
と、前髪に感じる不穏な空気。
僕は一度立ち止まり、視線を前後左右に走らせる。
先ほどまではなかった気配が辺りに漂っている。汗が滴り、地面に落ちる。
静寂の重さがずっしりとのし掛かって、足を出すのにしばし迷った。
いつでも剣を抜けるように、柄に手をやりながら、慎重に進みはじめる。
―――――最初は、本当になにが起こっているのか分からなかった。
無慈悲な機械音が鳴ったと思ったら、突然、地面が突き上げるように跳ね上がり、僕は立っていられなくなった。
揺れは一瞬で収まったが、その後に後方から腹にまで響いてくる轟音が浴びせられる。
振り向く――と、その前に音の発生源が徐々に近付いてきているのが理解できて、すぐさま僕は駆け出した。
駆け出した直後に扉が割れ、大量の砂ぼこりが舞い上がる。
大きな瓦礫が、天井が崩れて落ちてくるのだ。
後ろから順番に、追いかけるように崩落が迫ってくる。
疲労などに構っていられない。
地面が微動し、パラパラと天井から埃や砂が降ってくる。
このままでは押し潰される!
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