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そう思って、深くため息をついた―――それが油断であった。
ウィィィィィィン、と。
「ん、なんだ――……ッ!」
甲高い機械音とともに、生物兵器が現れる。
僕に向かって一直線に、飛び込んでくる。
とっさに動くこともできず、僕は壁に向かって蹴り飛ばされた。
「がはッ!」
叩きつけられた体中に、激痛が走る。痛みで意識が飛びそうだった。
危機を乗り越えたばかりだったのに、
まさかこんな追い討ちがあるなんて……。
薄く目を開けると、生物兵器が迫ってくるのがはっきりと見えた。
この間の出来損ないとは違う、新品同様の人型の生物兵器だ。
(・・・・・・なんだあれ?)
腕や足の関節の部分に、肉のようなものが見える。
だが、それが何なのかは分からない。
無駄な思考が働く刹那、金属同士が激しく擦れ合う様な甲高い音を鳴らし、生物兵器が再び蹴りを放つのが視界に飛び込む。
それをなんとか、身体を投げ出すようにしてかわした。
大振りな蹴りは、そのまま振り抜かれて遺跡の壁を破壊する。
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