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ガラガラと音を立てて、その一帯が崩落していく。
瓦礫の山の中から、射抜くような視線が僕を貫いていた。
これ以上ないくらいに向けられた敵意。
全身の肌があわ立つような感覚を覚える。
生物兵器はしゃがみ込むように身をかがめて、一気にそれを解き放つ。
一瞬、目が追いきれない。
視界が追いつく頃には、既に懐まで入り込まれていた。
鎌のように繰り出されるその蹴りを、
剣で受けて一先ず凌ごうと――パキン、と金属音が空しく広がるのが分かった。
(鉄の剣を……折った!?)
ひしゃげるという過程を吹っ飛ばして、その剣は中ほどから折れてしまっていた。
予想も出来なかった事態に、呆然と出来る暇は与えられる訳もない。
この間にも、生物兵器の苛烈な攻撃は続いているのだ。
「………くっ!」
一旦、大きくバックステップをし、生物兵器との距離を取った。
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