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このまま逃亡する。そんな思考が脳裏を過るが、危険な殺人兵器を街中に入れる事は、どう考えても利口な判断とは思えない。
「しょうがない……か」
そう呟いて僕は、ゆっくりと右手を上げた。
照準は生物兵器に合わせる。
手のひらの向こうの景色に、ちょうど生物兵器が来るように。
(出ろ……出てくれ)
そう願って、魔力を通す。
エリスに言われた通りなら、僕は炎の魔法を扱えるはずだ。
あんな大規模の破壊じゃなくて良い。
少しだけ、今を切り抜けるだけの力でいいから……!
もう一度、生物兵器が矢のような速度で迫ってくる。
「…………ダメ、か・・・ッ!」
綺麗に伸びきった鉄の蹴りが、顔面に衝突する。
脳が直接揺さぶられたようで、何メートル吹き飛ばされたかも明瞭ではない。
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