4.朝凪

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ふと気がつくと、僕の身体は暗闇に浮いていた。 何処まで行っても何も無い空間だった。音も、匂いもなにもない。 ただ押し潰されそうな気配だけが、辺りを埋め尽くしている。 なにかがいる……ワケではない。 だとすれば、この気配はどこから来るものなのだろうか。 これは、夢だ。 自分に言い聞かせるように、そう結論付ける。 ――と、僕が固く目を瞑ったときだった、「汝(なんじ)の――に――――」 上とも、下ともつかない、空間全体から響いてくるような声が、僕の耳に確かに届いた。 「誰だ!」 思わずそう叫んでいた。 そして忙しく辺りを見渡す。
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