4.朝凪

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誰もいない……そのはずなのに、声だけは聞こえてくる。 「我が求むは――――」 夢だ。ただの夢に決まっている。 目を覚ませ。 早く、早く早く早く。 「固き想いに――――を与えん」 これ以上聞いていたら、なにかが終わってしまう気がした。 強く、耳を塞いでみた。 「――――に負の代償を」 まるで意味がなかった。 その声は凄まじい力でもって、塞いだ手のひらを突き抜けて、僕の脳を直接揺らしてくるのだ。 「忘れるな―――」 うるさい。 と、体温が急激に上昇するのが分かった。
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