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誰もいない……そのはずなのに、声だけは聞こえてくる。
「我が求むは――――」
夢だ。ただの夢に決まっている。
目を覚ませ。
早く、早く早く早く。
「固き想いに――――を与えん」
これ以上聞いていたら、なにかが終わってしまう気がした。
強く、耳を塞いでみた。
「――――に負の代償を」
まるで意味がなかった。
その声は凄まじい力でもって、塞いだ手のひらを突き抜けて、僕の脳を直接揺らしてくるのだ。
「忘れるな―――」
うるさい。
と、体温が急激に上昇するのが分かった。
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