4.朝凪

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僕は右手を前に向ける。どこでもいい、とにかくこの声の主を黙らせるんだ。 「欠落した―――は―――」 「黙れぇええええええええええええッ!!」 ドンッ、と胸の中心に衝撃がある。 それと同時に世界はヒビ割れた。 「――――ッ!」 僕はそこで飛び起きた。 「……今のは……夢?」 なぜだか無性に心がザワついた。このようなことは初めてであった。 息が荒い。嫌な汗も掻いていた。 ベッドのシーツも嫌に熱を帯びている。 (……ん? ベッド?) 疑問とともに、辺りを見渡してみる。微かに見覚えのある場所だった。 (たしかここは、王宮の医務室。どうして僕はこんなとこに寝かされているんだ?) そうだ。僕はフェン・デルの遺跡で意識を失って――それからの記憶がまったくない。 どこからが夢であったのか、頭が混乱しそうだった。
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