4.朝凪

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「ん……」 と、隣から微かな声が聞こえてきた。 首を横に向けると、そこにエリスが疲れた様子で眠っていた。 イスに座って眠ってしまうほど、疲れが溜まっているのだろうか。 ……なぜか彼女は、眉をひそめていた。 「エリス――」 そう静かに呼びかけてみる。 すると彼女は薄く瞼を開き、寝ぼけ眼でこちらを見やる。 何度か瞼をしばたかせると、徐々に瞳に活力が戻っていった。 そして、エリスは目を見開いた。 「アベル……君?」 声が震えているのが分かった。 僕は、なるべく自然に返事をする。 「はい。おはようございます、エリス様」 彼女の表情が目まぐるしく変化をする。
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