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「ん……」
と、隣から微かな声が聞こえてきた。
首を横に向けると、そこにエリスが疲れた様子で眠っていた。
イスに座って眠ってしまうほど、疲れが溜まっているのだろうか。
……なぜか彼女は、眉をひそめていた。
「エリス――」
そう静かに呼びかけてみる。
すると彼女は薄く瞼を開き、寝ぼけ眼でこちらを見やる。
何度か瞼をしばたかせると、徐々に瞳に活力が戻っていった。
そして、エリスは目を見開いた。
「アベル……君?」
声が震えているのが分かった。
僕は、なるべく自然に返事をする。
「はい。おはようございます、エリス様」
彼女の表情が目まぐるしく変化をする。
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