4.朝凪

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驚いたような、喜んでいるような、そして泣きそうな顔をして、エリスは突然立ち上がった。 「エリス様?」 と、彼女は俯いてそして――――「バカっ! あんな無茶ばっかりして……死んじゃったらどうするの!」 そんなふうに声を荒げた。 僕はなにも言えなかった。 「三日も目を覚まさないで、うなされてるし。ずっとこのままかと……!」 打ち震えた声が、じくじくと胸に刺さる。 エリスの俯いた頬には、光る物が伝っていた。 「申し訳ございません」 エリスはふい、とそっぽを向いて目元を拭う。 僕に背中を向けて、彼女は医務室のドアのほうに向かった。 「……お父様を呼んでくる。アベル君は、静かに待っていること。お願いね?」 彼女の小さな背中は、ドアの向こうに消えていく。 パタン、とドアの閉まる音が身体に響いた。
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