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静かになった部屋で一人、僕は天井を見上げた。
「…………嫌われちゃった、か」
ああいうふうに、怒鳴られることには慣れていた。
少し前まで、街を歩けばいつだってそういうことだらけだったからだ。
……けど、いつもの怒声とは、なにかが違うような気がしたけれど、それは気のせいなのだろうか。
「……………………」
まあ、いいか。
一度目を閉じてみる。
真っ暗な視界。それはあの夢の世界と、良く似ていた。
「忘れるな―――、―――に負の代償を、我が求むは――――、」
まるで意味が分からない。
どうしたものかと、少し悩んだ。
そうこうする内に、部屋の外から足音が幾つか聞こえてくる。
僕が上体を起こすのと同時にドアが開いて、エリスと国王が二人ほどの兵士を伴って部屋に入ってきた。
「調子はどうだね?」
「はい。問題はありません」
「そうか……」
と国王はイスには座らずに、僕を見下ろすようにして立っていた。
エリスはその後ろで、黙りこくっている。
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