4.朝凪

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「ところで、なぜ僕は王宮に? 確か、フェン・デルの遺跡で意識を失ったはずでしたが」 「……あの日フェンデルの森から、おぞましい魔力が感じられたのでね。 遺跡に兵を派遣して、倒れていた君を連れ帰ってこさせたというワケだ。 なんでも兵に聞いた話では、君は瓦礫の中心に倒れていたらしい」 「瓦礫、ですか……」 「ああ、遺跡は跡形もなく壊れていたようだ」 なるほど、合点がいった。 運が悪ければ……いや、普通だったら死んでいた。 今ならエリスが怒鳴った理由も、少しは理解できる気がする。 「遺跡を壊してしまい、申し訳ありません」 と、僕が頭を下げると国王は、気にすることはないと言った。 そして、国王は懐から古い本を取り出した。 「あ、それは……」 「確かに受け取ったよ。ご苦労だった。これで、君がこの国にとって有益だと示せたわけだ」 取り出したのは古文書だった。倒れていた僕のポーチから、持っていったのだろう。 とりあえず、任務を果たすことはできた。信用こそないだろうが、 それでも味方として扱う建前はできた、と国王は言っているのだ。 国王は続けて、 「それで、だ。私がここに来たのは、古文書の報告のためではない」
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