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「ありがとう。素直な協力に、感謝をしよう」
そういう国王の笑みは、貼り付けた能面のようであった。
後ろのエリスは、暗い表情がいつまでも晴れないまま、こちらを黙って見つめていた。
責めるようではないが、きっとその瞳は問うていた。
『本当にやるの?』と。
「では、早速出発――と行きたい所だが、その前に君にはやってもらうことがある」
「何をでしょうか?」
「剣の修行さ。まさか、旅の道中戦闘がある度に一帯を破壊しつくされては流石に困るのでね」
言っている事はもっともだった。
僕自身も、あの得体の知れない魔法はできるだけ使いたくない。
「とっておきの人材を用意してある。明日からの三週間、徹底的に鍛えてくれたまえ」
そう言って、国王は去っていった。
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