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翌日、用意された個室で朝を向かえ、身支度をしていると、軽くドアをノックされた。
「はーい」
昨日言われた、『人材』の者だろう。
そう思ってドアを開けると、意外な事に、そこに立っていたのは国王だった。
「おはよう」
「お、おはようございます」
国王は固い表情ながらも、昨日よりは砕けた雰囲気になっていた。
少々たじろぎながら聞く。
「えーっと、どうしてこちらへ?」
「昨日言っていた修行に連れて行くためだ。準備はできているかね?」
「はい……準備は大丈夫です」
もともと、準備も何もない。
精々服を着替えていれば、僕にとっては充分だった。
「ですが、まさか国王が迎えに来られるとは思いませんでした」
「はは、朝は私もヒマなのだよ。公務なんかは、おおよそ昼からと決められているのでな」
そんなふうに話しながら、王宮の廊下を歩く。
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