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あたしの頭が可笑しくなったわけじゃない。
物心ついた時にはもう、記憶の中に世野原先生が旦那さんとしていた。
もちろん、まだその時は世野原先生のことを知らなかったし、世野原先生と出会ったのはついこの間。
あたし達、新1年生の入学式の日。
桜が風に吹かれて舞い散るなか、一目見ただけで、あたしの記憶にあるアノ人だってわかったんだ。
見失わないように必死にその人を追いかけてたら、相手が止まっていたのにも気付かないでぶつかってしまった。
その人は転びそうになったあたしの手を掴んで、前のあたし…前世で、転びそうになったあたしにしてくれた時みたいに優しく頭を撫でてくれたんだ。
こっち(現世)では初めてしてもらったはずなのに、すごく懐かしくて、嬉しいような悲しいような気持ちになって泣きそうだった。
あたしにケガがないことを確認すると、その人は自己紹介をしてくれた。
「俺はここの学校で体育の教師をしている世野原朔夜(よのはらさくや)って言うんだ。お前は…新入生だな。よかったら名前を教えてくれるか?」
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