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紗弥加の中には、英二にはもちろん、その両親にも言えなかったシコリがあった。
それがユウジとのある一夜の出来事である。
「実は僕も、あの日の事がひっかかってた。英二ってほら、妙に鋭い時とかあるでしょ?」
「そうだね、なんか英二にはうまく隠し事とかできなかったかもしれない。でも、ユウジ君とのことは、それだけは一言も言ってないよ。あれはあたしの過ち。二人の関係を歪にしちゃった。英二にもユウジ君にも、ひどい事をしたと思ってる。」
紗弥加の肩は小さく震えて、その顔は徐々に下へと下がっていく。
「紗弥加ちゃん。」
紗弥加の隣に腰を下ろし、ユウジはその震える肩に腕を回そうとした。
が、その動きは止まり、伸ばしかけた腕はまたゆっくりと元の位置へと戻っていった。
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