シーン・1

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初めて オレの胸に飛び込んで来てくれた望さんを、もう少し胸に抱いていたかった。 「なんか、恭祐から甘いオーラが出てる!」 「ほんと、初めて見た!」 「てか、望さんって本当に実在したんだね。」 同僚達が好き勝手な事を言って騒ぎだす。 「悪い。見ての通りオレ急用ができたから今日はパス!」 オレの言葉に同僚達からブーイングが起きる。 「恭祐。」 ふと望さんがオレを呼ぶ。 彼女の頭を押さえていた手を緩めながら 「何?」 問いかける。 顔を上げながら 「話が、あるの。」 望さんの言葉はなぜかたどたどしい。 「うん。」 ――知ってるよ、待ってたんだから。―というその言葉はあえて飲み込んだ。 .
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