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初めて
オレの胸に飛び込んで来てくれた望さんを、もう少し胸に抱いていたかった。
「なんか、恭祐から甘いオーラが出てる!」
「ほんと、初めて見た!」
「てか、望さんって本当に実在したんだね。」
同僚達が好き勝手な事を言って騒ぎだす。
「悪い。見ての通りオレ急用ができたから今日はパス!」
オレの言葉に同僚達からブーイングが起きる。
「恭祐。」
ふと望さんがオレを呼ぶ。
彼女の頭を押さえていた手を緩めながら
「何?」
問いかける。
顔を上げながら
「話が、あるの。」
望さんの言葉はなぜかたどたどしい。
「うん。」
――知ってるよ、待ってたんだから。―というその言葉はあえて飲み込んだ。
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