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「俺が犯人を見つけ出してやるよ」
そう言ったのは勿論隆人だ。
『犯人』という言葉にドキッとした。
「誰がしたんだ?」
と思うその『誰』=『犯人』という感覚が自分の中にある事に気付いた。その事実を振り払う様に、子供達と自分に向かって言った。
「まず、何でこんな事が起きたのかを知りたいんだ。その為には、両方の気持ちを知りたい。それからみんなで考えよう。だから、勇気を出して、俺に話して欲しい。先生はずっと待っているから、話をしに来てくれ」
その日の授業も、ぎこちなかった。自分も子供達も、朝の話が頭の片隅に引っ掛かっていて、何か無理して意識しない様に振舞っている感じだった。
休み時間も放課後も『来てくれ』と願いながら待っていたが、誰も来なかった。
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