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席についたのはいいものの、『朝学習』というものがわからない。
くるみは周りの生徒を凝視した。
何をすればいいのか、知りたくて。
たまに、見ていることに気づかれ、生徒に嫌な顔をされた。そんな事はお構いなしだ。
だって、何もしないでいるのは、心が落ち着かなかったから。
くるみは新しい制服のスカートをきつく握りしめた。じゃないと、瞳から悔しさの水が落ちてきそうで。
(………………っ…)
歯を食いしばり、こらえた。
学級委員が言った。
「………はぁ、板原さん。何かあいてるノートある?」
「え……」
いきなり話し掛けてきた学級委員を見て、行動が停止した。
「……ノート。」
「あっ!あ、あります!!」
嬉しさなのか、なんなのか。くるみは声を出してバッグの中をあさった。
「……じゃあ、そこに自由勉強をして。…分かりました?」
「は……はい、ありが…」
学級委員はくるみから視線を外すと、すぐに朝学習を始めた。
(お礼、言いたかったなぁ。)
転入前、担任の川村にもらった生徒名簿を見て、くるみは呟いた。
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