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「取り敢えず、挨拶がてら下見にでもいくか?あたしも姉として弟のこと頼まなきゃならんし」
言葉の端々に面倒くさいという情報が感じ取れた。
「うん…そうだね。宜しく頼むよ姉さん」
「では私は行くが、場所はわかるかね」
「あたしを誰だと思ってる?魁座家っていやあ、高台の有名なお屋敷じゃあねぇか。迷えってのが無理な相談だぜ」
姉さんこそ日暮さんに対して失礼すぎる。仮にも後見人の方に対して。慇懃無礼とはまさに姉さんの為にあるような言葉だ。
「あ」
「ん?」
「魁座…魁座セレナ。晋太の彼女」
「…ジジイの孫娘じゃん」
すげぇな晋太。素直に驚嘆に値するよ。
「やるな悪童。時雨も、早く彼女捕まえんだよ?」
姉さんはこの手の話題が大好きだ。
「もし何か困ったことがあればいつでも連絡してくるがいいのだ」
日暮さんは僕に名刺をくれた。そこにしっかり番号が書かれている。用が済んだ日暮さんは普通に玄関から出て行った。
「さ、あたしらも行くか」
「うん」
そして僕らも、高台にある魁座邸にむかうため、家を出たのだった。
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