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その日の昼休み。
「ああ…上井草か。学年模試常にトップの…全国模試は…」
「3位」
「そうそう!そうだよ。そっか、あの“毒吐き静”とか…リアルにキツいな」
「でしょ?」
屋上で昼食のパンを食べながら晋太に愚痴を聴いて貰っていた。あんまりクラスに馴染めてない僕にとっては晋太との関わりが、それだけが癒しの時間だった。
「でも、あの性格こみで好きって奴沢山いるんだろ?世の中不思議な事だらけだよな…」
学園内には彼女のファンクラブまで実在し、その中で“上井草様”“静嬢”などと祭り上げられている。
「まったくだよ。僕はこんな世の中なくなればいいとさえ感じるよ」
ついついネガティブに陥る。そういう時も流石の晋太。
「そう言うなよ。世の中なくなったら、俺とこうしてランチ出来なくなっちまうんだぜ?お前の秘密もこみでさ、俺は、お前といられてそれだけで楽しいんだからよ」
「晋太…」
ちょっとジーンとした。が、
「まあクラスにいるよりお前のネガティブ見てるほうが愉しいってだけの話なんだけどな」
前言撤回。やっぱり彼もこんな自分の友人だ。少し歪んでいる。
でも、それでもいい。自分にも居場所があると、実感することが出来るのだから。
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