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「へぇ、あの悪たれが彼女か…」
聖。つまり姉さんである。自宅リビング。姉さんに晋太の春について告げ口していた。許せ晋太。
「ま、18っていやあ…普通恋人の1人2人いるだろう…あたしは別段感じ入るとこはないけど…」
「そう…」
けっ…モテ充が。
「…おい。今、なんか邪念を感じたぞ」
缶ビール片手にギロリとこちらに凄む姉さん。怖い。「」の外を邪念と称して感じとっている。ごまかさねば。
「そう言えばさ、姉さんって…どんな魔法使うんだっけ?」
「あたしのは“魔法”じゃなくて“異能”。あんたと違ってあたしはもどきなんだから…なに?喧嘩売ってんの?」
「い、いえ…滅相もありません。はい…」
本来上位種である“魔法使い”はもどきである“異能者”より圧倒的な立場にあり、余程の事がないかぎり負けはないはずなのだが、僕はあまりに未熟で魔法を使いこなせていない上に、姉さんはその道のプロだ。今の僕では到底及ばない。
「なっがい口上ペラペラたれて、誰に説明してんだよ」
また感じとられた。あなどりがたし。
「凄いよね。姉さんは」
「あ?」
「強いし…」
「…時雨。あんたは強くなれるんだ。そうならないのは、あんたにその気がないからだ…」
「だって…僕の魔法はそういうのじゃない」
「うじうじしやがって…そんなひ弱な弟に…お姉ちゃんからスペシャルプレゼントだ」
「え?」
その時、インターホンが鳴り、姉さんは、静かに笑ったんだ。
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