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結論。その男は不気味な程静かだった。
「えっと…姉さん?」
ニヤリと笑う姉さん。
「このオッサン。姉ちゃんからのスペシャルプレゼントだ。受け取りな」
「はい?」
「はい?じゃねーよ」
じゃねーよはこっちの台詞だよ姉さん。なんでこんなよりにもよって混沌の権化みたいなオッサンを受け取らなければならないんだよ。
「お前ははしょりすぎだ。大事なことはしっかり伝えるがいいのだ」
語尾が変な人だった。でも、あなたの言うとおりです。
「すんませぇん。めんどいけどしゃあない…えっとこの人は日暮さん。本職は魔法監査官。以上」
「魔法…監査官?」
少し頭がくらくらする。姉さんの言語力のレベルが原因だろうか。いや、違う…。
「評議会で審議された危険因子の魔法使いの監視・協会への報告が、私の仕事でいいのだ」
やっぱり語尾がおかしい。それよりも、
「僕は、危険因子なんですか?」
「そうだ。類い稀なる危険因子がいいのだ」
だんだん語尾にイライラしてきた。どうやら口癖らしい。
「ただ夢を食べるだけが?」
「お前、甘く見すぎだろ」
姉さんがため息をつく。その様子だと、姉さんは僕の魔法を完全に理解しているようだ。
「日暮さん…でしたっけ?」
「うむ」
「僕はどれだけ、どんな風に危険なんですか?」
「…まず、魔法を理解していないこと」
「あんたの魔法だろ。あらゆる使い方を模索し、理解してかなきゃあんた…いつか必ず力に振り回されて暴走する」
姉さんと日暮さんに三者面談のような状態で怒られた。
「第一、そんな程度の低い代物を…我々が“魔法”と認定するわけがないだろう考えるがいいのだ」
「はあ…」
夢を食べる魔法?どう考えても戦闘にはむかない。一体、何が危険だと言うのか。
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