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そろそろ、私は自らの存在の限界を感じ取っていた。
そう思う根拠などどこにもないのだけれど、何故か私には己の肉体の消滅の時期が分かっていた。
まぁ、どのように消えてしまうのか、なんてさすがにそこまでは分からない。
主神といえども、結局は自らのことなんて把握し難いのだ。
大きく伸びを1つすると、微かな衣擦れの音と共に、背骨がパキッと軽い音を立てた。
これもやはり年のせいか、いやいやまだ私は若いはず……ぱっと見だけは。
さて、話を元に戻そう。
悠々と椅子に坐する私の目下には、集められた11人の他の神々たちの姿がうかがえる。
普段、12神が集合するなどということは滅多に起きないので、突然の収集に戸惑ってるみたいだけど、まぁいっか。
口元に厭らしい笑みを浮かべて、私はたった一言だけこう言った。
「聞け、オリュンポスの神々よ。最初に“愛”を知り、“愛”を得た者に、このゼウスの椅子――天空神の地位を授けよう」
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