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ぽりぽりと睦月は頭をかいた後、俺の目を見て口を開いた。
「殺人鬼を殺しちゃったんだよね」
「へぇー殺人鬼を……っはぁ!?」
思わず出た大声に睦月は戸惑いながらも無言で首を傾げた。
「殺人鬼を殺した!?殺しのプロまではいかないかもしれんけど、経験は積んでいる殺人鬼を、小動物さえ殺せへんような睦月が殺した!?」
「え、あ、おう。すげぇデジャヴ」
思わずさらっと流しそうになった。
それくらいさらっと睦月は言いよった。
睦月の顔をガン見していると困ったように笑う。
え、なにこの良い男。
女やったら惚れとる、ってそやなくて。
明らかにわけありで殺したやろ。
とてもじゃないが快楽で人を殺したようには見えん。
突っ込んだ話をしようかと思ったが、やめた。
そういうんは姫さんの役目やろう。
「あ、ちなみに俺の罪知りたい?」
「……教えてくれるのか?」
「別に構わへんよ?」
一瞬躊躇うような表情をし、おずおずと俺に聞いてきた。
とりあえず皆の名前と罪でもさらっと言っておくかな。
「まず教える前に色々と知ってもらわなアカンことがあるんやけど……ゲッ」
長い長い廊下を歩き続け、やっと俺達の縄張りに入った。が、それと同時に面倒な奴が目にとまる。
そいつは俺に気付くや否や満面の笑みを浮かべた。
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