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「俺がやった事にすれば良い」
「なに、言ってるか分かんない……」
「過剰防衛になって罪に問われたら……っ。お前があんな所に入れられたら俺は気が狂う!」
「……今ね、すっごく気持ちが良いんだ」
「?話聞いてたか?」
「私ね、お兄ちゃんが大好き」
「なっ!?」
こんな状況なのに照れだす兄が可愛くて私は大好き。
兄としてじゃない、1人の男として私は兄が好き。
まぁ、血つながってないから禁断ではないんだけども。
初めて私は自分の気持ちを兄に伝えられた。
それだけで幸せだよ。
「兄としてじゃないよ?」
「……薄々気付いてたよ…」
「そっか、なのに今までぎゅってしても嫌がらなかったのは、私のこと嫌いじゃないから。って自惚れて良い?」
「呉亜、俺も呉亜が好きだ、誰よりも大切なんだ」
「…………どうしよう、すごい、嬉しい…」
じわりと視界がにじむ。
鼻の奥がツンとする。
あぁ、もう。
決心が鈍る。
決めたのに、もう地獄の道を歩むって決めたのに。
「呉亜、行くな。頼むから…俺に罪を譲ってくれ…」
「分かったよ、お兄ちゃん」
「そうか…!ならそのナイフを、ッ…え……?」
ぐちゅりとナイフはお兄ちゃんの脇腹に突き刺さった。
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