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「っ……此処が少年院……」
青年はその建物を初めて見た。
ひと昔前まではよくテレビで放映されていたのだが、今ではそれは禁止されている。
少年少女達はこの少年院を恐れ、犯罪に手を出さない。
その恐怖の象徴とも言える少年院を目の前にし、青年は少し震えた。
今日から此処が自分の家となる。
「早く行かんか」
「っ、す、すみません……」
「はぁ。何でお前さんみたいな奴も地獄に入らなきゃいけねぇんだろうな」
「……えっと…」
「ははっ、今のおっちゃんの言葉をお前は聞いていない。そうだろう?」
「はい…」
「あそこが入り口だ。俺は手続きを済ませてきてやるから先に行ってろ」
大柄の男はガシガシと青年の頭を乱暴に撫で、入り口とはまた別の方向へ歩いていった。
髪の毛がグシャグシャになったのを、青年は手櫛で直しながら示された入り口へと向かった。
少年院と呼ばれた施設は何年か前に建て直された。
理由は老朽化された部分が多々あった事と、施されていなかった耐震・防音を全ての部屋に施すため。
なので青年が思っていたより、見た目は真っ白で、新しくされたので綺麗だ。
だが、青年にはそれが余計に不気味と感じた。
いっそドロドロとした黒色の方が良かったな。
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