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看守とも言える男に哀れみの念を抱くのはさておき。 私はちらりと今日やって来た青年を見た。 「……こいつが誰かを殺したの?」 一目見て分かった。 この男は人を殺すような人間じゃないと。 自分よりも他人を優先しそうな、そんな稀に見る優しいタイプだ。 「あぁ、凶悪な殺人鬼をな」 「……殺人鬼?虫一匹殺すのでさえ迷いそうなこの男が?」 「証拠もある」 「殺人鬼なんて殺しのプロってわけじゃないけども経験豊富じゃない。素人に殺されるなんてこと……」 「……お前やけにつっかかるな、いつもなら一言二言でどっか行くのによ」 ……話を逸らした…? ということは、その殺人鬼さんは相当偉い人物だった……? もしくは重要な人物。 じゃなかったらそいつの名前を出すはず。 殺人鬼なんて第一級犯罪どころじゃ済まないし……。 ……詳しく突っ込んでも曖昧にされるのがオチね。 今はこの青年について聞いておこう。 「もう処分は決まったの?」 私が看守に尋ねると面倒そうな顔をした。 それから首を捻り、自分も分からないと言いたげな表情で、 「それがまだなんだ」 と答えた。
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