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『まだ』?
「は?どういうこと?」
「それ以上は言えん。じゃあ任せたぞ」
「あ、ちょっと…!」
話の途中で背を向け去って行ってしまった。
シンッと静まりかえる廊下に私と睦月とかいう青年を残して。
どうしろと言うんだ。
私はいつも適当に挨拶をし終わりだった。
こんな何を任されたのかも分からない状況で何をしろと。
「……あー……、えっと、俺睦月奏太」
「漢字は奏でるに太い?」
「そう。よく“カナタ”に間違われるけど“ソウタ”です」
「敬語は不要よ」
「そっか、わかった」
にこっと人懐っこい笑みを私に見せた睦月。
私に初対面で笑いかけた人なんて何年ぶりかしら。
…とりあえず部屋に移動しよう。
此処でいつまでもつっ立ってんのは疲れる。
誰か私達以外に人は……。
キョロキョロと見回し一番に目に入った人影は明らかに琥珀。
何でお前なんだと小一時間ほど問い詰めたいがこの際誰でも良い。
「琥珀」
「あ、姫さん……ははーん、隣にいる男が例の新しい同胞やな?」
「その顔ウザイ、睦月奏太が名前ね。この辺りの地図とか頭に入ってないと思うから案内してあげて。ついでに仲間の紹介、全部終わったら部屋に来て」
「え、もしかして雑用?」
「あら、あなたの頭でよく分かったわね」
「ちょそんな、俺姫さんに呼ばれたからちょっとピンクな感じの用事やと…あ、堪忍、やっ、それのフルスイングは死ぬて!あ、やめっ…!!」
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