一日目

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私は数分、その場に立ちつくしていた。 鋏のことや今の男の声が頭の中で反芻していた。 ジーーーワ……ジーーーッ 遠くの蝉の声で私は我にかえった。 そして、一呼吸し 怪しげな店の扉を開けた………… 窓から見た以上に店の中には 西洋風の食器や古めかしい人形が雑然と 硝子窓の棚の中に並べられ、飾られていた。 天井から吊るされたシャンデリアの 光は乏しく店内は薄暗かった。 店内に先程の男の姿は無かった。 私はカウンターの奥にある人が出入りするであろう緑色のカーテンの裏側に向けて声を掛けた。 す…すいません、誰かいらっしゃいますか………
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