一日目

4/5
前へ
/13ページ
次へ
何度か呼び掛けたが、中から返事が返ってくることはなかった。 私はあの窓際に飾られた鋏の 前に再び立ち尽くした。 曇天の切れ間から射す 日光に照らされた白銀の刃が怪しげな輝きを灯していた。 その鋏が、気になるのか。 突然後ろからあの男の声がした。 私は心臓が飛び出そうなほど動揺したが 平静を装い振り返った。 あ、はい。外から見えたので気になって…… ……言っておくが……それは売り物ではない。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加