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何度か呼び掛けたが、中から返事が返ってくることはなかった。
私はあの窓際に飾られた鋏の
前に再び立ち尽くした。
曇天の切れ間から射す
日光に照らされた白銀の刃が怪しげな輝きを灯していた。
その鋏が、気になるのか。
突然後ろからあの男の声がした。
私は心臓が飛び出そうなほど動揺したが
平静を装い振り返った。
あ、はい。外から見えたので気になって……
……言っておくが……それは売り物ではない。
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