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あの後、和成は家に直行して帰ったのだが今だ家の前にたたずみ入ろうとはしなかった。
和成の目の前にあるのは二階建ての普通の家なのだがドアを開けようとドアに手をかけて、そこで止まってしまう。
そんな和成の背後から声がかかる。
「あれ、兄ちゃん。そんなところでなにしてんだよ?」
和成はビクッとし、後ろを振り向き声の主が誰かわかると胸を下ろし安心して軽く息を吐く。
「はぁ、なんだ風(フウ)か。びっくりさせるなよ」
風と呼ばれた少年は和成の弟で小学6年である。
ツンツンとした髪が特徴で、背は和成の肩くらいで、和成とは正反対で女子に人気があるのだ。
そんな弟に和成は確認を取るように訊いた。
「な、なぁ、もしかして、鈴(スズ)のやつもう家にいるのか?」
「鈴なら、俺より先に帰ったからいると思うけど……。
それより兄ちゃん。ここ二日間どこに行ってたのさ。
音信不通で鈴のやつ……」
「もしかして、めちゃくちゃ心配してたか?」
「いや、めちゃくちゃイライラしてた。キレてたしさ」
「うわー、マジかよ。今晩の飯は抜き確定だな」
「そんなことより、早く家に入ったら?」
「そうだな」と和成は催促されドアを開けようとした。
そのときだった。
ドアが内側から開けられた。
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