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扉を開けたのは黒に近い茶髪で軽くウェーブがかかっている髪で風より少し背が小さい少女だった。
「騒がしいな~。風、お客さんが来たなら……」
「よ、よぉ鈴。ただい――」
バタンッ!ガチャッ!
鈴と呼ばれた和成の妹は和成の顔を見た次の瞬間には勢いよくドアを閉めたあげく、鍵もかける。
ドンドンドンと扉を叩きながら和成は訴えた。
「鈴、俺が何したって言うんだよ!何でそんなに怒ってんの?もしかして、俺がお前のプリン食ったから怒ってんの?」
「はぁ、兄ちゃん近所の迷惑になるから中に入ろうよ」
ため息を吐く風はそう言うとランドセルから鍵を取り出し、ドアを開ける。
「おぉ~、さすが風。俺の弟とは思えないほどだ。俺なんて家の鍵もらったことないぞ」
「そりゃ、兄ちゃんが泥棒のごとく毎回家の鍵開けるからだよ」
ガチャリと音を立ててドアを開け、和成は家の中に入った。
入ってすぐに和成の視線の先にはさきほどの鍵を閉めた可愛らしいエプロンをしている張本人がお玉を手に腕を組み、仁王立ちして待ち構えていた。
「バカ兄、この二日間音信不通でどこに行ってたの?」
鈴は笑顔で訊いているのだが、その笑顔が逆に怖く和成は困惑する。
「え、えーとそれは…(異世界に行ってた、何て言えるわけないし…)」
和成がどう説明しようか考えていると鈴はハァとため息を吐き、
「どうせ、紀人さんや圭介さんとどっかに行ってたんでしょ?」
「そ、そうなんだよ。あの2人とぶらぶら色んなところ行ってたんだ」
鈴の言葉に和成は思わず、え?、と思ったのだが本人がそう思っているならそれでいいと話を繋げた。
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