§神々の三角関係§

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「さて、これで終わりっと。  お待たせ、リン。帰るわよ」  提出分の書類以外をバインダーにはさんで棚に直して、机に突っ伏してる相棒に声をかける。 「んあ? もういいのか? いくらでも待つよ」  ……まだ寝足りないのかしら、この娘。あくびを噛み殺した姿は、休日のぐうたら親父に酷似している。 「っとにもう……。なんなら一生待っててもいいのよ。ナマケモノより性質(たち)悪いわね」  言ってから後悔した。  私としたことが、なんて程度の低い台詞なんだろう。  こんな言葉くらいじゃ、リンは何も感じやしないわ。  ま、もっとも、リンが真剣に焦ったり悩んだりしたとこなんて、そうお目にかかれるもんじゃない。  私が知ってるのも一度だけ……。転生前のあの時だけよ。 「どうした? お腹痛いのか。トイレなら先行っといた方がいいんじゃないか?」  ……いえ、分かってるのよ。こういう娘だってのはね……。  少しあの頃を思い出して、湿っぽくなりそうだったのがバカみたい。 「──痛って! 無言でグーはダメだろ。グーはさ」 「うるさいわね。とっとと帰るわよ。昔なら光の槍が飛んでるとこよ」 「……それは勘弁……」  言いながら浮かべる微苦笑が、やっぱりムカつくわね。  でも、それがリンなのよね。本気で魔法のひとつも覚えられないかしら?
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