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「神代さん、では後お願いできるかしら」
「はい、会長。今日は琴でしたよね?」
書類を仕分けながら、帰り支度を済ませた生徒会長に確認する。
けど、返ってきたのは否定の言葉だった。
「いいえ、お琴は先週で修了したのよ。今日からは日本舞踊ね」
「そうなんですか。頑張ってきてくださいね」
……そう、何でもないことのように返してみせた私を誰か誉めてくれないかな?
“修了”ってのがどういう意味なのかは分かるわよね。
それをこの生徒会長はいくつも修めちゃってる……。
ピアノに華道、バイオリンに茶道もお手のもの。バレエもこなすし、書道に至っては免許皆伝らしい。
おまけに実戦的太極拳の段持ちだとも聞いてる。
名門女子校の生徒会長って肩書きが逆に、天光寺楓(てんこうじかえで)って名前によって格上げさせてもらってる。
言ってみれば才色兼々々々々々備ってところね。
『ルミよりよっぽど、女神様らしいよな』
とはリンの台詞だけど、正直腹も立たなけりゃ悔しくもないのよね。
そう言うときのリンの表情にムカつくくらいのものよ。
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