第二章【Drifter】

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××× 視界が白から徐々に輪郭を取り戻していった時、まず初めにカズキの目に写ったのは今までと変わらない町の風景だった。 だが先ほどまで辺りは夜だったというのに、見える景色は灰色の雲が一面にかかった曇天の空。 電灯も必要がない程度の明るさであるあたり、曇ってはいても時間帯は昼間らしい。 「ここ、東京?でもこの静けさは……」 ビルが立ち並ぶ中、周囲に人の姿はなく、そこにいるのはクロウ・カズキただ一人。 普段なら聞こえる筈の雑踏も僅かにすら聞こえない。 自分以外の人間全てが死に絶えてしまったのだろうかとカズキは思う。 が、一瞬前に自分が何をしていたのかを思い出し、「そうだ」と我に帰る。 自分はミツキを探す手掛かりを得る為に“リアルワールド・オンライン”にアクセスしたのだ。 だが、何故世界がこんなにも急に変わり果ててしまったのだろうか? 「──あれ?そういえば携帯は?」 と、握っていた携帯電話が手の中から消えていることに気付く。 足元にも見当たらない辺り、落としたわけではなさそうだ。 「携帯がなかったらミツキから連絡があっても分からない……どうしよう」 焦りから思考が纏まらないものの、ひとまず周辺に落ちている可能性に賭けて辺りを探索してみることにした。
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