序章

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「ねえ、名前なんて言うの?」 クラスの名簿をじっと見ていた私はいきなり声をかけられたため、 心臓がとまりそうになった。 「えっと、あの...私は、七瀬彩香【ななせあやか】」 「七瀬さんか、私は冬山由紀【とうやまゆき】、三中出身だよ 同じクラスだね、一年間よろしく」 「冬山さん、よろしくお願いします」 声が少し裏返ってしまい、思わず顔が熱くなる。 「由紀でいいよ~  私も彩香って呼ぶからさ」 隣の席に座っていた由紀は、ショートカットが似合う元気そうな人だ。 「彩香は、どこの中学なの?」 「私は、この辺の中学じゃなくて千葉から引っ越してきたばっかなんだ」 「そうなんだ、千葉かー 落花生のイメージしかないや」 由紀は髪をはためかせながら笑って話す。 「よく知ってるね、落花生 よくおやつに食べてたよ」 「落花生がおやつとか面白すぎるよ~」 初めは緊張したが、由紀の持ち前の明るさですぐにうちとけることができた。
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