序章

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「えーでは、お静かに式典を始めます」 檀上脇でマイクを持った絵にかいたような、見事にきらめく頭を持った教頭らしき人が式典の始まりを告げた。 コツコツコツ… 静まり返った会場に、足音が響き渡る。 「みなさん、ご入学おめでとうございます 市立海見高等学校、校長に本年度より就任いたしました、百目鬼【どうめき】です……」 気の強そうな、デキルおばさんと言った雰囲気の校長は堅苦しい挨拶をつづけている。 「ねえねえ、彩香―。あの校長怖そうじゃない? 私学校紹介で見たパンフのおじさん校長がやさしそうで好きだったのにな」 「由紀ちゃん、そんなのよく覚えてるね」 小さな声で話しているうちに退屈な話は終わっていた。
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