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「飲みてえな、ものたりねえ」
かなっぺを食べながら、寂しそうに呟く姿がツボで思わず笑い出す。
「そんなに飲みたいの? てか、飲んじゃえばいーのに」
「だって、飲むなっていうから」
「別に命令されるいわれはないでしょ。 あっちに迷惑かけないように、こっちはこっちで飲めばいんだよ。 私、下ネタ嫌いじゃないよ」
ニコッと笑うと、田辺は尻尾をふるかのように目を輝かせた。
「飲んでいい?」
私達2人の顔を交互に見る姿は、旅行から帰ってきたご主人様を迎えるワンコのようで笑えた。
「彼女がいいってんだからいいだろ。責任は彼女にとってもらえよ」
彼は苦笑いして生ビールの残りをグイッとあおった。
新しいお酒を三つ頼むと、三人の宴会が始まる。
彼の名前は東山かける。 かけるは、印象がコロコロ変わる不思議な奴で、冷たいのか優しいのかよくわからず、どぎついツッコミもするが、ニコニコした笑顔をくずさない酔っ払い田辺とは相性がよさそうだ。
田辺の名前は守。さっきまでは、女の子に気に入られ様としすぎていたのか、肩を張っていない自然体の田辺のほうがいいような気がする。ただし、そろそろ呂律がヤバイ気はするが。
裏も表もありそうなかけるだが、話してみれば、それはそれで面白く、やられキャラっぽい守と2人の会話を聞いているのは楽しかったし、ときおり、かけると守をやりこめながら、実は私が隠れSだった事も判明した。
楽しくて、合コンも悪くないな、なんて考えてる私がいる
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