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「無粋な奴だ。邪魔なのがわからんのか。シャルロットから離れろ」
シャルロットを両手で抱きしめたまま、ジュリアスが不遜な表情でじろりとアスレイを睨む。
「邪魔なのは貴方の方ですよ、ジュリアス。姫さまとふたりきりにしてください」
澄ました顔で、アスレイが言い返す。
ジュリアスの毒舌にも、だいぶ慣れてきたようだ。
だが、エメラルドグリーンの瞳は挑発的にきらめき、鋭くジュリアスを射すくめている。
「貴様とはいつか決着を着けねばならんようだな」
ジュリアスの眼差しも、険しさを帯びてくる。
「望むところです」
棘を孕んだ眼差しを、アスレイも真っ向から受けとめた。
バチバチッと、ふたりの間に火花が散った。
ジュリアスとアスレイにはさまれて、甘やかな羞恥に頬を染め、シャルロットは胸に吹き荒れるときめきの嵐に翻弄されて、石像のように立ち尽くしていた。
そんなシャルロットを、王女がおかしそうにクスクス笑ってみつめていた。
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