chapter Ⅳ

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「くっ……!」 鎖のついた枷をはずそうと、ルシェスは懸命にもがいた。 だが、いくらもがいても、黒光りする鋼鉄製の枷ははずれる気配がなく、ますますきつく手首に食い込むばかりだ。 小さくため息をついて枷をはずすのを諦め、ルシェスは改めて室内を見回した。 天蓋つきのふかふかのダブルベッドの上に、彼は囚われていた。 天涯からさがるビロードのカーテンは細い4本の支柱にとめられ、部屋の様子を見渡すことができた。 呆れるほど広い、豪華な寝所。 調度品も見るからに高級そうな、贅を凝らしたものばかりだ。 真紅のドレープカーテンが重くたれこめ、外界の景色を遮断している。 絢爛たるシャンデリアが柔らかな光を投げかけ、豪華な寝所を妖しいオレンジ色に染めていた。 部屋の主を象徴するかのような、重苦しい淫靡な雰囲気がたちこめている。
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