chapter Ⅳ

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憂鬱な気分になって、ルシェスは長い睫を伏せ、再びため息をついた。 シャンデリアの淡い光が、少年の美貌を妖しく寝所に浮かびあがらせている。 淡雪のような白い肌。 長い睫が濃く翳を落とす、マリンブルーの瞳。 顔立ちの繊細さを強調する、スッと細い鼻梁。 小さな薄い唇。 首筋も体つきもほっそりと華奢で、少女めいた美貌と相まって、異性よりもむしろ同性の心を惹きつけてしまうことが多々あった。 柔らかなブロンドがふわりと目もとにかかり、あでやかな美貌に華を添えている。 14才という年齢にふさわしくない、どこか妖艶な雰囲気を漂わせていた。 華奢な体に、大きめのバスローブをはおっている。 白いリネンのローブは肌触りがよく、いい香りがした。 はだけた胸もとに、何十もの深い傷痕が刻まれていた。 どの傷も、まだ新しい。 この城に囚われた最初の夜、鞭で打たれたのだ。 ベッドの上にしどけなく座りこみ、ローブの胸もとをはだけているルシェスの姿は、ひどく扇情的だった。 好きで、こんな格好をしているわけじゃない。 この城に囚われる前は、ふつうの……というより、かなり豪華な王子の衣装を身につけていたのに…… (ついてないな、よりによって、あんな奴に捕まるなんて……) ボアのシーツに視線を落として、ルシェスは3度めのため息をついた。
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