chapter Ⅳ

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ガチャリと扉が開いて、長身の男が部屋に入ってきた。 「気分はどうだ、ルシェス」 浮き立った足取りでつかつかとベッドに近づいてきたのは、この国の王ベルナールだ。 王と言っても、まだ若い。 22、3といったところだ。 金ぴかの王冠も豹柄のファーがついた真紅のローブもどこか成金趣味に見えるのは、ルシェスが色眼鏡で見ているせいだろうか。 「いいわけないだろ。こんな悪趣味な部屋に閉じ込められてさ」 ふてくされた表情で、ルシェスは上目遣いにベルナールを睨んだ。 「そんな反抗的な態度もそそられるな」 一向に気にした風もなく、ベルナールはにやりと笑って、熱く光る瞳でルシェスをみつめた。 この男には品性がない、と見るたびにルシェスは思う。 顔立ちそのものは、悪くない。 美男の部類に入る方だろう。 だが、頭の中で考えていることがそのまま顔に出るらしく、目つきがいやらしいし、舐めまわすようにルシェスを見る。 小麦色の肌に赤い髪と瞳、鍛え抜かれた逞しい体躯の男だった。 「これ、はずせよ」 ジャラッと鎖を鳴らして、ルシェスは手首に嵌まる枷をこれみよがしにかざしてみせた。 鎖はかなり長く、体を動かすのに不自由はない。 だが、ベッドの脚にしっかり繋がれていて、逃げられなかった。 一国の王子がこんなものを嵌められているなんて、屈辱だ。
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