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「お世辞ではありません。今宵のシャルロットさまは薔薇の妖精のみたいです。色が白いから、ピンクが映える。そのドレス、よくお似合いですよ。まるで人形のようだ」
涼し気な瞳をうっとりと細めて、アスレイは包みこむようにシャルロットをみつめた。
シャルロットは恥じらって、長い睫を伏せた。
「もう、やめてよ」
そんなシャルロットを甘やかな眼差しで絡めとり、アスレイはクスリと笑った。
アスレイの言ったことは、決してお世辞ではなかった。
淡いピンクのドレスをまとったシャルロットは、薔薇の妖精のように可憐で可愛いらしく、清楚な魅力に満ちあふれていた。
淡雪を思わせる、透き通るような白い肌。
ぱっちりしたアメジストの瞳。
長い睫が、可憐な美貌を人形のように見せている。
鼻梁はスッと細く、小さな薄い唇は薔薇の花びらのようだ。
輝くブロンドを肩の下でビスクドールのように巻き、前髪はセンターをやや長めに目の上ギリギリで切り揃えている。
胸もとが大きくはだけたオーガンジーのドレスは、先ほど兄王からプレゼントされたものだ。
パフスリーブの袖口にも、ドレープの入ったスカート部分にも、レースとリボンがふんだんにあしらわれている。
クリノリンでめいっぱい裾をふくらませ、華やかなことこの上ない。
ピンクサファイヤをちりばめた金細工の華奢なティアラとダイヤのネックレス、アクセサリーはそれだけだ。
可愛いらしいドレスとティアラが、シャルロットの可憐な美貌を極限まで際立たせていた。
今宵はシャルロットの16才の誕生日、そして社交界デビューの日だ。
初めての舞踏会に、シャルロットは胸の高鳴りを抑えることができなかった。
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