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「ふわぁぁ~……眠い」
「おはよう、長谷川。今日もマイペースだね」
うるさい、一言余計だろ。
机にうつ伏せになっていると、爽やかがタオルで汗を拭きながら話しかけてきた。
タオルにチラリと視線を移すと、爽やかは、ああ、と言って爽やかに笑う。
「俺、今さっき自主練で走ってきたんだ。いいトレーニングになったよ」
「あっそ………どうでもいいけど、お疲れさん?」
「ははっ、長谷川はほんと素直じゃないよな!」
……ほんとなんでもいいけど、さっきからお前が汗拭いて笑う度に、後ろのオカマ共が反応してるぞ。
キャアキャアと女顔負けの黄色い声を出して喜んでいる。ー何が嬉しいのか本当に理解出来ない。
慣れないクラスにうんざりしていれば、廊下からドタドタとやかましい足音が聞こえる。
「皆、おはよう!!今日も元気にいこうぜっ!!!」
全ての事に全力投球の王道が、今日も元気に登校してくる。
いつもの事だ、問題ない。……こっちには慣れたって事か
そんな王道の後ろを遅れながら、現れるのは赤髪不良。やっぱりこの二人、身長差すごいな。
その二人は、俺達を見つけると真っ直ぐこっちに進んでくる。
「蓮、晋也っ!!おはよう!!」
「おはよう証」
「……はよ。てか声、デカ過ぎ。少しは抑えろよ」
「よぉ………蓮」
「…………おぅ」
「もー!!二人とも、朝の挨拶はお・は・よ・うだろ!!?」
わざわざ区切らなくても分かってるっての。お前は声を抑える事を真剣に考えてくれ。
挨拶も一通りしたから、チャイムがなるまで仮眠をとろうとするが、それを許してくれない奴がここに居る。
「あ、そうだ蓮!!俺、考えたんだけど……今回の依頼、やっぱり三人でやろうぜ!?蓮ばっかり動かせるのは間違ってると思うんだ!!!」
っウッルさ!?耳元で叫ぶなよ、鼓膜破れたらどうしてくれるんだ。
「って依頼?……ああ、それなら昨日終わらせた」
「だろ!?やっぱり蓮なら分かってくれると………ってえ!?もう終わったのか!!?」
「うるさい!」
耳鳴りがする程叫ぶので、つい拳が出てしまう。ー拳骨というやつだ。
しかしこいつ石頭で、痛い思いをしたのは俺だった。
解せぬ。
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